2008年7月8日火曜日

2008年度ヨーロッパ選手権(ポーランド)




初めての国際大会。
この年のヨーロッパ滑空機曲技選手権は、ポーランドのラドムにて開催されました。



美しい旧市街の大通りで、開会式が行われました。

各国の旗を掲げた軍人と一緒に、町を練り歩き、盛大な歓迎を受けました。










離陸を待つ競技機たち。














これが、この年の unlimited known sequence。

参加者全員が必ず飛ばなければいけない規定演技です。

三角印はスピンやスナップロール、点線はマイナスGのかかる場所、矢印はロールを意味します。






















「どうだった?」「うーん、あそこのロールは・・・」

競技飛行を終えて着陸したマクラ氏に駆け寄り、意見を伝える息子たち。

右はスタシェック(若く見えるけど実はベテラン競技者。LOT系列会社のラインパイロット)、左はヤネック(まだ若い、未来の競技者)。










トップパイロット達と同じ土俵で競い、国籍も文化も違う友人たちと別け隔てなく議論する。

そして、具体的かつ実現可能な目標として、世界の頂点を目指す。

競技会の楽しさは、ここにあります。






競技会場からの帰り道、マクラ氏は我々の機体の横にならび、華麗なロールを見せます。

この広大なポーランドの空全てが、彼の遊び場なのです。

2008年4月8日火曜日

ポーランドでマクラ氏に師事したときのこと





2008年の春、初めてポーランドを訪れました。

初めてのヨーロッパ、しかも旧共産圏。見るもの全てが新鮮でした。











伝説的なグライダー曲技パイロット、イージー・マクラ氏(写真右)への弟子入り。私たちにとって、二年越しの計画でした。


マクラ氏と我々日本人パイロットのつながりは、昔からとても強いのです。








私は、富士川飛行場へ通い始めた大学3年生の秋、日本アクロ界の草分けの一人である大先輩、Kさんと出会いました。元来アクロがやりたくて飛行場通いを始めたという来歴がありますので、私はその後Kさんの影響を強く受けつづけることとなりました。

Kさんは10年以上前から、マクラ氏を初めポーランドの人々との強いつながりを持ち続けてきました。私はそのつながりをそのまま継承させていただく形で、ポーランドへと受け入れられたのです。









日本では見たこともない航空機たち。





























訓練は、複座FOXで行われました。

マクラ氏の教育は的確で、技量はどんどん伸びていきます。













訓練開始から一週間ほどたったころでしょうか、今でもはっきりと憶えていることがあります。垂直降下から操縦桿を押して背面にすること、つまり「ネガティブプッシュ」を覚えた時のことです。それまでは、ポジティブG方向でしか機体をコントロールできないという不愉快さ、限界感を、強く感じていました。これを克服できたらどんなに素晴らしい世界が広がるのだろうかと。

この時私は、その制約を機体構造と自身の能力の両面から克服しました。頭上に向かって流れていく滑走路。心地良いネガティブG。一瞬にして目の前のモヤが晴れ、新しい世界が開けました。とてつもない快感でした。そのまま背面で水平飛行し、もう一度押して垂直上昇・・・。

着陸後、マクラ氏に向かって、"I got wings..." ・・・やけに冷静に言い放ちました。今考えたら恥ずかしい。しかし、当時は真剣でした。

"Now, this glider is yours."

これがアンリミテッドの、同時にFOXの免許皆伝でもありました。

マクラ氏は、彼の所有する貴重な競技機「Solo-Fox」への搭乗を、私に勧めました。
この機体は、今でも私にとって最高のパートナーです。